マツノヒデマサの温泉取材記
かやぶきの郷 薬師温泉旅籠 全景

薬師温泉
かやぶきの郷 薬師温泉旅籠
(群馬県吾妻郡東吾妻町本宿)
ホテル詳細

●温泉泉質 42.8℃ナトリウム−カルシウム−炭酸水素塩泉
●温泉効能 アトピー性皮膚炎・リウマチ・慢性皮膚病・頭部充血症・婦人科疾患・打ち身・切り傷・火傷・冷え性・動脈硬化症・糖尿病・神経痛など

歴史ある秘湯と心やすらぐ郷。
そこは古き良き時代への『時間旅行(タイムスリップ)』

 薬師温泉の歴史は古く、今から207年前の寛政5年(1793年)、旅の行者温泉坊宥明という人が発見した温泉と伝えられる。浅間隠温泉郷最奥の温泉で、古くは「法印本正院の持湯」であったため、「法印の湯」と呼ばれた。江戸時代は隣の鳩の湯と一体で、薬師の湯を上の湯、鳩の湯を下の湯といった。

かやぶきの郷 薬師温泉旅籠 薬師長屋門 当時は野天だけであったが、昭和5年に元県の官吏だった生駒彦三郎が浴舎を建て無料解放し、始めて薬師温泉と改名した。戦後群馬バスが経営、4年前に江戸趣味の食事処「時代屋」のオーナーの井上功氏が永年のコレクションを生かし、江戸時代を再現するような秘湯を作り上げた。私は23年前に「薬師の湯」に入浴しているが「鳩の湯」に入湯した記録がない。17年前には「鳩の湯」と「温川温泉」に入湯している。恐らく入湯をお願いしたが、鉱泉のため湯を沸かしていなかったので、入浴を断られたのかもしれない。

 2003年6月29日、薬師温泉をめざし、関越道の高崎インターを下り、榛名山の裏側を抜ける草津街道をたどる。1時間ほど車で走った大戸には、かつて関所が置かれ、国定忠治処刑跡の碑を右手に通過し、すぐ左折。前方をはとバスが走る。薬師温泉への定期観光バスらしい。10キロ先の二股を左折すると「鳩の湯」と「薬師温泉」の看板があり、そして突然「かやぶきの郷」の薬師長屋門が現れる。

かやぶきの郷 薬師温泉旅籠 出羽の国「紺野家」  約7,000坪の広大な敷地に全国各地より由緒あるかやぶき民家を移築し、古き良き時代の日本の故郷を再現したテーマパーク。まるでタイムスリップしてしまったような感覚になる。「かやぶきの郷」の玄関口となる高さ26mの薬師長屋門をくぐると、そこは懐かしい日本の風景。かやぶき民家には珍しい3階建ての「出羽の国 紺野家」、江戸時代に立てられた「南部曲がり屋 木村家」、88坪の壮大な民家「濱田邸」など圧巻である。民家の内部や回廊に所狭しと並ぶ5000点の時代箪笥や、鐘・陶器・明かり道具などの古民具のコレクションもみごと。それらを目の前にするだけで時代を生きた人々の生活が感じられ、温もりが伝わってくる。

かやぶきの郷 薬師温泉旅籠 時代箪笥回廊 まずはかやぶき民家のひとつ「濱田亭」の囲炉裏端で炭火焼の昼食をいただく。濱田邸は人間国宝の陶芸家、濱田庄司・晋作親子が居宅として自らが建築した屋敷を栃木県益子市より移築。88坪の壮大な民家は時間も費用も惜しまず名木ばかりを集め、自然の形をそのまま活かして組み上げられたという、壮大で美しい建物である。

 そんなかやぶきの屋敷にて食事が楽しめるとは実に贅沢な気分だ。新鮮な食材をオープンキッチンや七輪を囲んで出来立てを演出する。
 昼食の囲炉裏会席は先付けの卵豆腐にわらび、串刺しの鮎、篭盛の地鶏もも肉と手羽先、とうもろこし、椎茸としめじ、ねぎにアスパラガス、大正海老などが籠盛で運ばれてくる。園内に放し飼いの上州地鶏「風雷鶏」が身が引き締まり美味。野菜は地元農家の朝摘み野菜を使っているとのこと。食材へのこだわりが感じられる。はし置きには片口いわしが使われ、途中で焼いて食べられる演出だ。最後にじゅんさいのお吸い物、ご飯、香の物。夕食ではさらに季節の鍋が出される。
 案内をして下さった安倍正敏氏は食事中も「地鶏は焼きすぎない方が地鶏の命が引き出されます」「冬場は温い湯だが、20分も湯に入るとぽかぽかして湯冷めがしないと評判なんです」など丁寧に説明してくださる。私の様々なしつこい質問にも嫌な顔もせずに答えていただき感謝。

かやぶきの郷 薬師温泉旅籠 滝見乃湯 「かやぶきの郷」施設内には宿泊施設「旅籠」があり、温泉施設もすばらしい。日帰り入浴も可能とのこと(大人1,200円・子供600円)で、早速露天風呂「滝見の湯」へ入浴。渓谷と砂防ダムの眺望を眼前に見て木の湯船に身を沈める。戸外との仕切りにアコーディオン式折畳ガラス戸を採用して、外気を避ける工夫をしている。夜は滝がライトアップされ幻想的になるという。宿泊者および日帰り入浴利用者は「かやぶきの郷」の見学は無料。
 天然掛流しの3m×4mの内湯「薬師の湯」は、200年前より自噴する源泉があふれ、うす茶色の湯花が目立つ。飲用は不可。泉質は42.8度のナトリウム-カルシウム塩化物・硫酸塩泉で効能は、アトピー性皮膚炎、神経痛、筋肉痛、痔、婦人病、慢性リウマチ、冷え性、病後回復、動脈硬化症など。

かやぶきの郷 薬師温泉旅籠 囲炉裏の間 宿泊施設「薬師温泉旅籠」は、かやぶきの郷の自然と木のぬくもりを大切にした静かな一軒宿だ。江戸時代の元号である慶長から嘉永までが部屋名として使われていたり、廊下には広重などの版画絵が展示されたり、旅人を迎える宿場町の雰囲気を今に伝えている。古民具が置かれた温もりと懐かしさあふれるロビー。時間の流れもゆっくりと感じられる。客室には時を超えて使い込まれてきた太い梁や、時代箪笥が心地よい空間をかもし出している。二間続きのゆったりとしたやすらぎ館の客室は全室個室露天風呂付。一般客室のせせらぎ館は、各廊下を「街道」に、部屋を「宿場町」になぞらえて、江戸時代の旅の気分が味わえる。訪れる者がみな、忘れかけていた日本の心が取り戻せる・・・そんな秘境の温泉。大切なものをいつまでも残しておきたいと強く感じる取材だった。(2003年7月)

※取材後、2005年にリニューアルオープン。温泉施設は上記の他、薬湯「郷の湯」、ゲルマニウム温浴の貸切半露天風呂、足湯「薬師の泉」が加わりました。
※ペット連れのお客様のために館内にペット宿泊施設「ポチとニャンコの家」を設置。小・中型犬・猫はお預かり可能となりました。

 

薬師温泉
かやぶきの郷 薬師温泉旅籠
(群馬県吾妻郡東吾妻町本宿)
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