マツノヒデマサの 療養温泉突撃取材記
羽根沢温泉 加登屋旅館 療養温泉取材記
羽根沢温泉 加登屋旅館
(山形県最上郡鮭川村)

●温泉泉質 47.2℃含食塩・重曹泉(ナトリウム・炭酸水素塩・塩化物泉)
●温泉効能 《浴用》胃腸病など消化器病・慢性皮膚病・やけど・婦人病・リウマチなど
《飲用》胃腸病・糖尿病・便秘症・痛風・尿酸素質・肥満症・腎臓結石・膀胱カタルなど
●湯治療養 湯治室・自炊室あり

原始林に囲まれた自然豊かな山あいの美人湯

羽根沢温泉 加登屋旅館 全景 「奥の細道を歩く旅」第30回目「大石田〜新庄」を歩いた際に羽根沢温泉「加登屋旅館」に宿泊した。2年前に日帰り入浴に訪れたことがある宿だ。当日は朝から大雪。なのに通気性のよい運動靴に傘も忘れるという無防備ないで立ちで大石田に降り立ってしまった。寒い北国(北海道)育ちというのに我ながら情けない。雪道を1時間45分歩いたがついにダウン。芦沢駅から電車で移動して、昼頃に旅館に到着した。新庄市からバスで40分。原始林に囲まれた静かな環境のなかに4軒の宿が肩を寄せ合う温泉地。昔ながらの佇まいに心が安らぐ小さな温泉街だ。

羽根沢温泉 加登屋旅館 客室寒さに凍えてチェックイン。2階の「月の間」に案内される。和室10畳に障子戸で仕切られた6畳の広縁に小さなテーブル椅子。床の間・テレビ・洗面所はあるが、バス・トイレはなく廊下を出て30m先の共用トイレへ行くことになる。防寒のためか館内やトイレなどのいたるところに灯油暖房器具が置かれている。並びの別館も見せていただくと、テレビがあるだけの6畳ほどの湯治用客室がある。窓外には、羽根沢地区多目的集会所が見える。1階には共同浴場があり、村民が時々車で入浴に訪れる。料金は大人200円・小人100円だ。

羽根沢温泉 加登屋旅館 大浴場1階の大浴場に行ってみる。円形のコンクリ作りの棟を半分に仕切って、男女別の大浴場に使用しているようだ。更衣室から最初の戸を開けると、さらに内側にある自動ドアが開き驚く。右半分が男性用の浴室で、右手の窓側に面して幅1.2m長さ7mほどの変形浴槽がある。タイル張りの浴槽は結構広く15人ほどが同時に入浴も可能。が、この日は雪のためか空いていて私としては広い大浴場を独占しているようで気分がいい。
 夕方2回目の入浴時に、日帰りの男性客が入ってきた。早速話を聞く。「この温泉は飲むこともできて、息子が二日酔いの時に飲むとてきめんだと言っているよ。胃潰瘍にもいい。俺は湯治はここと肘折温泉にいつも行くことにしている。」
→飲泉のすすめ
 新庄駅まで迎えに来てくれた四代目の若旦那は、「昔から胃腸病ややけどに効くといわれます。2月からは庄内地方のお客など療養のお客が多い時期です。長い人は1週間から10日ほど逗留します。新幹線が開通して以来、東京の人が増えましたが、大抵1〜2泊で短いですね。」

羽根沢温泉 加登屋旅館 天然ガス湧出タンク 泉質はナトリウム・炭酸水素塩-塩化物泉で泉温は47.2℃。加水はなし。温度が低いので加温、源泉け流しで循環、塩素殺菌をしているというが塩素臭は感じなかった。弱い油臭、薄い黄緑色の湯で、あふれる湯が排水溝に勢いある水流を作り、脇にある桶がくるくる回転している。いかにもかけ流しだなという眺め。湯は肌につるつる感がとても強く「美人の湯」の評判も理解できる。
 羽根沢温泉は、新庄北西の山間奥に入ったところ。大正8年に石油ボーリングで温泉が湧出したという歴史を持つ。加登屋旅館は2年後の大正10年に開業した。敷地内に天然ガスの湧出タンクがある。そこで天然ガスと温泉を分離して、天然ガスを他の宿や十数件の一般家庭に配っていたが、今年行政から危険物管理者を置かなければ認可できないと使用が禁止されたため、部屋の一角にある天然ガス配管から繋がれたガスレンジは撤去された。これまで「羽根沢温泉のシンボル」といわれた「天然ガス」が今後終焉を迎えるのか再生策があるのか注目したい。

羽根沢温泉 加登屋旅館 夕食 夕食膳は部屋に運んでくれた。贅沢はできないと「最低の料金でお願いしたい」と若旦那に頼んでいたが、迎えの車中で「馬刺しは食べられますか?」と聞かれたので少し期待。運ばれてきたメニューを見るとたっぷりのにんにくを用意した「馬刺し」があった!鴨鍋、ふかしゆり根、大根おろしに筋子・なめこ、味噌和えの鮭塩焼き、大型ハタハタの塩焼き、キムチにご飯、味噌汁。ゆり根は鮭川村芦沢地区の名産だそうで、リンドウ、バラ、トルコギキョウなどとともに花の栽培が盛んだ。地の凝縮した味がじ〜んとくる。
 朝食も7時15分に部屋でいただく。鮭の塩焼き、目玉焼き、焼き海苔、アスパラガスサラダ、舞茸や厚揚げなどの煮物、漬物、豆腐入り味噌汁にご飯。

 過疎の弊害はここにも押し寄せ、週4便あった路線バスは、2便に減る。一時は湯治客でにぎわったこの羽根沢温泉も今は閑散としてきた。若旦那達を始めとする温泉街の人々は、地元活性化のためにさまざまな取り組みを試みてきた。
羽根沢温泉 加登屋旅館 羽根沢温泉全景 4年前、県試験場の協力要請に応えて、羽根沢温泉に流れる支流に生息する「モクズ蟹養殖」に温泉の廃湯を利用して2年がかりで挑戦したが想定よりも成長が遅く断念。またサーモンロードの会を立ち上げて鮭(よう)の新切(じんぎり)の売り出しなどに奔走した。鮭の新切とは、清流鮭川に遡上した雄鮭を5日ほど塩漬けにした後約2ヶ月寒風に干す「鮭の干物」で、レシピを付けた製造販売を試みているそうだ。今はまだ成果が見えないというが、若旦那達の熱意がいつか実を結ぶことを願っている。
(2007年12月)


近隣スポット トトロの木「小杉の大杉」
【ご宿泊料金(税込・入湯税込)】
一般客室 1泊2食付 8,650円〜10,650円
湯治客室 1泊2食付 6,650円  自炊 1泊 3,500円
【施設】
客室:鉄筋3階建て和室29室(バスなし・トイレ共用)
付帯施設:屋内ゲートボール場1面(ステック持参)
【近隣スポット】
最上三十三観音「庭月観音」・トトロの木「小杉の大杉」・まぼろしの滝「予蔵の森」・藤九郎沢の千年桂・かご山の大桂五兄弟」・庭月観音灯籠流し(8月18日)・鮭川歌舞伎(7月第一日曜)・鮭川村エコパーク(栗の木オートキャンプ場・木の子の森センター・キツツキコテージ)

 
羽根沢温泉 加登屋旅館
(山形県最上郡鮭川村)
■所在地:山形県最上郡鮭川村大字中渡1312
■お問い合わせ:0233-55-2525

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