湯治療養温泉突撃取材

上湯温泉 温泉保養館神湯
  奈良県最南端、十津川村に最近評判の湯治・療養温泉宿泊施設があると聞き、古くからの友人、東京都学校生協の植野一雄氏と同行して、4月28日取材に訪れた。
 奈良近鉄八木駅から奈良交通特急バスで4時間、JR紀伊本線新宮駅からバスで1時間38分、十津川温泉下車。さらに宿の送迎バスで15分という、山また山の秘境。日本一広い村として知られ、標高千mを越す山が100を数えるというから、その秘境の程度が理解できよう。
十津川の支流、上湯川に沿って建つ旅館の1つが、上湯温泉温泉保養館神湯、神湯荘の別館になる。突然の訪問だった為、2代目社長の深瀬雅志氏は多忙で会えず、夫人のかおりさんに案内していただいた。
本館の神湯荘は、27年前に建設、別館の温泉保養館神湯は、リニューアルを機に、平成10年頃から構想していた温泉療養施設(8ルーム)として、平成11年6月にオープンした。療養のお客を対象に、1週間以上の滞在を条件に受け入れている。お客は全国からで、若い女性はアトピー性皮膚炎、中年は腰痛や胃腸病などの内臓疾患、お年寄りはご夫婦で来る人が多い。10日足らずで劇的にアトピーが完治した人もいる。年間通して、ほぼ満室の上々の宿泊率を誇る。約8割が常連客と言う。
上湯温泉の泉質は、炭酸水素塩泉の重曹泉で、川原から引湯した85度の高温泉、アトピー性皮膚炎、痛風、糖尿病、肝臓病、胆石、慢性胆嚢炎、慢性消化器病、婦人病に効能があると言われる。入浴の他、飲泉にも適している。
入浴場は、本館、別館共通で内湯、大浴場、露天風呂など多様な湯船が10ヶ所あるが、男女別という分け方ではなく、「入浴中」の湯札を入り口に掛けて1人、2人でも貸しきりOKというシステムだ。日帰り客には、露天風呂を開放している。
無理にお願いして、掃除中の部屋を見せていただいた。10畳タイプの部屋で、エアコン、冷蔵庫、テレビ、湯沸しポット、箪笥、立派な金庫もついている。浴衣、タオルも用意され、コインランドリーも設置、入り口には小さいながらも、水と湯が出る洗面所も完備されている。
かおりさんに、「ぜひ自炊室も見たいのだが・・」と申し出て、二階に案内していただいた。食堂兼用の厨房で、炊飯器や電子レンジ、鍋、包丁、まな板等の調理器具や調味料、茶碗、お皿なども完備、お客が用意するのは食材だけ。「こんな山の中で食材はどこから調達するのですか?」「火曜と金曜に移動販売車がきます。また、月曜から土曜まで管理人がいて、管理人に頼むか、お客様が管理人といっしょに買い出しに行っています。」との事。自炊料光熱費として1日に100円を徴収している。設備は極めて最新、清潔、充実。この内容で、以下の宿泊料金に驚く。
賄い食は、例えば夕食は、刺身、煮物、酢の物、漬物、ご飯、味噌汁。朝食は、鮭の塩焼き、ご飯、味噌汁といった家庭料理で、飽きることのないように工夫していると言う。
社長が掲げる * 充実の設備 * リーズナブルな料金 * 理想的な湯治環境の三拍子が確かにそろった施設だ。
1週間の湯治客の過ごし方を聞いてみた。「車で来た人は、毎日観光や買い物に出かけています。簡単な釣り道具を貸しますので、川釣りを楽しむ人や菜園づくりをしたり・・。」
菜園用の畑を貸しているのだという。常連客は、最初に来て耕して種を植え、しばらくしてまた手入れをしたり、収穫をしたりと・・。これらが、社長が言う「理想的な湯治環境」のひとつなのだろう。
かおりさんの写真を撮りたかったが、許可がおりず、厨房での写真が1枚だけで残念。最後に同行の植野氏と露天風呂に入浴させてもらった。更衣室から見おろす形の風情のある岩風呂で、丁度日帰りのお父さんと4〜5歳の娘さん2人の家族連れのお客と一緒だった。雨がしとしと降る中、傘を差しながらのすてきな体験だった。

 上湯からルート168号線・十津川への帰途、「野猿」に立ち寄ってみる。「野猿」とは、村人の谷を渡る施設「人力ロープウエイ」で、両岸から川の上に張ったワイヤーに「やかた」を吊り下げ、これに乗り自分で引き綱を手繰り寄せながら渡るもの。猿が木のつたを伝って行く様子がよく似ているところから、この名がついた。動いてはいなかったが、形だけ「やかた」に乗り、記念写真を撮る。21年前、確か「野猿」の近くだったと思うが、川原の無人露天風呂の湯がとても熱く、1分と入っていられなかった事を思い出していた。
[宿の予約は下記へ]
 TEL07466-4-0256 FAX07466-4-0923
〒637-1558 奈良県吉野郡十津川村大字出谷220
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